売春の『強制性』をめぐるアメリカの議論

売春の『強制性』をめぐるアメリカの議論
(ドラマ『ホワイトハウス』を参考にしながら)

ザ・ホワイトハウス』という政治ドラマをご存知だろうか。大統領府と彼のスタッフをめぐる物語で、毎回多数の政治的事案と取り組む彼らの姿が描かれており、アメリカ人自身も学ぶことが多くあったと思う。スタッフにはクリントン政権のスピーチライターも入っていて、エミー賞の作品賞を実に四年連続で受賞した。日本でもシーズン3までNHKで放映された。

今年は戦後70年ということで、中国や、そして韓国までもが歴史問題で日本を責めようと色めき立っている。

そこで慰安婦や戦争責任追及問題でより良き理解を得るためにこのドラマのあるエピソードを紹介したい。

慰安婦問題に関しては日韓の問題を飛び越えて、今や米中を軸に世界を巻き込もうとする動きもある。

ネット上では、北朝鮮、韓国、中国、あるいはそれらに操られた在米市民団体が、慰安婦問題を扇動している、という陰謀論めいた解釈も多い。

勿論、それらのグループ一つ一つは慰安婦問題を政治化する上での重要なプレイヤーであることは否定しない。ただ、慰安婦問題や日本の戦争犯罪を追求する世界抗日戦争史実維護連合会のような団体が、中国などの傀儡組織であるという見方は、事実の極端な単純化であろう。

世界抗日戦争史実維護連合会については、実際に彼らのメーリングリストの一員でもある遠藤誉氏によると、本来彼らはアメリカを中心とするリベラルな華僑や韓僑の集まりであり、為に、以前は中国共産党全体主義とも対立する存在であったという。

そんな彼らがアメリカのリベラル勢力を動かして、アメリカ全体を日本の戦争犯罪を糾弾する方向へと持って行く勢力を形作った。

そこで我々は、彼ら華僑・韓僑も含めた、アメリカのリベラルという勢力を、慰安婦問題を語る上での、もう一つのプレーヤーとして考えてみないと慰安婦問題の全体像は見えてこないと思われるが、このアメリカのリベラルというもの、ここ日本にあってはなかなかその姿が見えにくい。

世界抗日戦争史実維護連合会の華僑や韓僑が反日活動を行うのには、彼ら自身の民族グループにとっての利益や遠隔地ナショナリズムから説明出来る部分もあるだろうが、日本と歴史的にも関係ない他のアメリカのリベラルが何故に日本をひたすら糾弾しようとするのか。

そしてそういった動きの中で、アメリカの有名女優が反日的映画を作ったり、それらに同調する日本女性たちが不思議な動きをして、多くの日本人を悩ませているのが昨今の実情だ。

このようなアメリカのリベラルの動きの一端を、このドラマのエピソードがよく伝えていると思ったのでご紹介することにした。

ドラマというものは、知識を伝えるという面では不充分かもしれないし、所詮フィクションにすぎないが、書物にはない「空気」を伝えてくれるということに、優れた脚本家の手によるドラマの良い点がある。

では以下に、ドラマの中のシーンを紹介するので実際に読んでみてもらいたい。勿論ドラマ自体を見る方が良いので、ビデオ屋に足を運んでいただければ一層ありがたい。但し、日本語の字幕は字数制限があるので、その点に関しては忠実な翻訳ではない。だが私の翻訳も適当である。

一番最後に私の短い締めくくりのコメントがあるので、面倒な人はそこまで飛ばしてもらっても良い。

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【『ホワイトハウス』3rd シーズン  エピソード8について】

 原題は"The Woman of Qumar"。例によって様々な政治的事案が同時並行的に語られるが、その中から、フェミニストのエイミーに関する部分のみを以下に抜き出した。

バートレット政権は民主党政権であるので、リベラルなフェミニストは支持母体の一つである。しかし彼女たちを過激であると考える次席補佐官ジョシュにとって、フェミニストは、共和党の支持母体である中絶に反対する宗教右派と同様に、厄介な存在であった。

ある日、大統領夫人に尻を叩かれてジョシュは仕方なくしぶしぶ彼女と会うことになる。彼女の主張は国際条約の草案の中の「強制売春」という文言から「強制」という二文字を省くことであった。二人の話は当然のように平行線を辿るが、自分の意見を主張し合う中で、何故か互いに惹かれていくように…という辺りもドラマ的面白さではあるのだが、本記事の趣旨は会話の中身の方だ。

アメリカの政治ドラマには性に関するスキャンダルの話題が多い。この『ホワイトハウス』にしてもその第一話からして、公務にあるサムの買春問題であった。その是非はともかくとして、アメリカには性の問題に関して、日本よりもはるかに多いこの議論の積み重ねがあると考えておくべきだろう。

原案作成には三人の女性の名が見える。それをもとにしながらも、脚本家ソーキンは、多くの男性が言いたいけれど、批判を恐れてなかなか言えないようなことも、ジョシュの口を通して自由に語らせているようだ。



[シーン1(4:43~): ジョシュ・ライマン次席補佐官とアビー・バートレット大統領夫人との会話]

ジョシュ「ご用件は何でしょうか」

アビー「エイミー・ガードナーから手紙が来たの」

ジョシュ「そいつのCCは、受け取ってます」

アビー「かなり怒ってるみたいだけど」

ジョシュ「エイミー・ガードナーはいつだって怒っていますし、そんなことには時間を割くつもりは…」

アビー「同意出来ないわね」

ジョシュ「僕もです。彼女の言葉は熟考に値します」

アビー「そうだと思ったわ」

ジョシュ「冗談です」

アビー「どっちでもいいわ。メールには、全米女性機構、男女同権行動連盟とあと10個ぐらいの女性のグループの連名のサインもあるの。あたし来週ウィーンに行かなきゃいけないんだけど…」

ジョシュ「正直言って、大統領夫人、お言葉を返すようですが、彼女たちのは過剰反応です。たったの一言をめぐって我々は話し合って来たんです」

アビー「国際条約の効力もその一言で劇的に変わるんじゃないの?」

ジョシュ「そんな劇的ですかね…」

アビー「今の草案は『強制売春』に言及してるけど、その他の様々な形態の売春や風俗産業は除外してんのよね?」

ジョシュ「う〜ん、それは検察官の…」

アビー「エイミーは言うんだけど、国連が『強制』という二文字を外さない限り、起訴することはほとんど出来ないんだって」

ジョシュ「…もう彼女と話したんですか?」

アビー「そう、そしてあなたも彼女と話して」

ジョシュ「ええっ……本当に話さなきゃ駄目ですか?」

Josh: Yeah, what can I do for your ma'am?
Abbey: I got a letter from Amy Gardner. 
Josh: Yeah, I was cc'd on that.
Abbey: She seems pretty irate.
Josh: Amy Gardner is always irate about something and I wouldn't give it a time.
Abbey: I haven't agreed with that.
Josh: Me too. I think it deserves a lot of thought.
Abbey: I thought you might.
Josh: I was kidding.
Abbey: I don't care. The letter was cosigned by NOW(*1), the Women's Action Leagues and about 10 women's groups. I've gotta go to Vienna next week.
Josh: Honestly, ma'am, due respect, I think they're overreacting. We're talking about one word.
Abbey: Isn't this one word that dramatically alters the effectiveness of the treaty?
Josh: I don't know how dramatically.
Abbey: The current draft says "forced prostitution" excluding other a lot of types of prostitution and sex trafficking?
Josh: Well, I suppose that's for prosecutors…
Abbey: Well, Amy says that unless the U.N. removes the word "forced" it's gonna be difficult to prosecute at all.
Josh: You have spoken with her?
Abbey: Yes, and I'd like you to do the same.
Josh: God, really?

[シーン2: エイミーのフェミニスト組織の連合があるフロアのオフィス]

エイミー「これ、なんだかわかる?」

ジョシュ「売春の国際地図?」

エイミー「そう。だれが作ったかわかる?」

ジョシュ「ああ..アメリゴ・ベスプッチ?」

エイミー「ううん、それ可笑しいわね、ジェイ、お宅の国務省よ」

ジョシュ「君の国務省でもあるんだぜ、エイミー」

エイミー「そうね、でも私のものであるよりも、もっとあなたのもんだわ」

ジョシュ「君がファースト・レディーに手紙を書くたびに彼女の気合が入るんだ。女性の為に充分にやってないと、罪の意識に駆られるから」

エイミー「彼女は女性の為に充分にやってるとは言えないわ」

ジョシュ「……で、なにがお望みなんだ?」

エイミー「聞いてくれて嬉しいわ」

ジョシュ「はいはい、僕はもっと嬉しいよ」

エイミー「今の草案は強制売春のみを性的搾取として扱っているのは強制売春のみで、他の種類の売春はそうじゃないわ」

ジョシュ「うん」

エイミー「例えばね、オペア(訳注: ベビーシッターなどをしながら住み込みで学校に通う仕組み)の広告に応募して、結局売春宿で1日15時間も働くことになり、人質に取られた形でわが身を拘束されて、決してお金を払い終えることは出来ない」

ジョシュ「ああ…」

エイミー「そんなのは最悪のシナリオじゃないわ。最悪のシナリオっていうのは、5日前にベセスダのストーニークレスト通りで四人の13才のタイの少女たちが、打ち捨てられた家の中で首を吊ってるのが見つかったような場合ね。地球を半分回ったようなところじゃなくて、ベセスダよ。窓にはシーツがかけられ、ドアは三重にロックされ、ベッドの支柱に手錠が架けてあった。四枚切り用のトースターを買う為に娘たちをベビーシッターとして売ったのよ」

ジョシュ「なんでそれが強制売春じゃないの?」

エイミー「この階に山のように弁護士はいるけどね… 過去2年の間に10万人の女性が、おままごとが似合うような少女も含めて10万人の女性が、この国に連れてこられて売春を強制させられたの。そのうち何人我々が起訴できたと思う?」

ジョシュ「不充分な数なんだろ」

エイミー「250人。あんたみたいな男たちが、さらにそれを難しくしようとしてるの。それでファーストレディーに文書を出したっていうわけ。」

(中略)

ジョシュ「あの二文字は落とせないよ」

エイミー「どうして…」

ジョシュ「我々だけがこの世界に生きているわけじゃないからね。売春はドイツでもトルコでもオランダでも合法だし、もしそれらの国を遠ざけたら…」

エイミー「条約に調印しないだけでしょ」

ジョシュ「多くの国が調印すればするほど、条約はその効果を発揮するのさ」

エイミー「条約がカスになればなるほど、条約はカスになる」

ジョシュ「それはよく使い古された詭弁だ」

エイミー「ちょっと、私ふざけてなんかないわ。女性の票は単に投票者の半分ってだけじゃないのよ。それは選挙の勝敗を分ける票差なのよ。」

ジョシュ「じゃあ、他に誰か投票する人がいるのかい?」

エイミー「知らないわ。だけど連邦裁判所には充分な女性判事を指名してないでしょ。じゃあ、あなたのとこの他の候補を支持することにするわ」

Amy: You know what this is?
Josh: A Map of global trafficking in prostitution?
Amy: Yeah. You know who drew it?
Josh: Ah...Amerigo Vespucci?
Amy: No, that's funny, J. It was your State Department.
Josh: It's your State Deparment too, Amy.
Amy: Yeah...little more yous than mine.
Josh: Every time you write a letter to the first lady, she get's in gear because she feels guilty that she's not doing enough for women.
Amy: She's not doing enough for women.
Josh: What would you like?
Amy: I'm glad you asked.
Josh: Not half as glad as I am.
Amy: The current drafted document says only forced prostitution, and not other types of prostitution, is sexual exploitation.
Josh: Yes.
Amy: What about someone who answers an ad for an au pair and ends up working 15 hour shift in a whorehouse, where they're held hostage and can never pay after that?
Josh: Yeah....
Amy: That's not the worst case scenario. The worst case scenario was 5 days ago, when four 13 years old Thai girls was found having hanged themselves in an abondoned house on Stonycrest Lane in Bethesda. 
Josh: Yeah....
Not halfway around the world, Bethesda. Sheets over windows, triple locks on doors, no phones, handcuffs, hanging off the bedposts. For the price of a toaster, their parents had sold them to works as babysitters.
Josh: How is that not forced prostitution?
Amy: I've got a whole floor full of lawyers who......  In the last 2 years, 100,000 women including girls who should be playing with Easy-Bake Ovens…100,000 were brought here and forced to work as prostitutes. You know how many cases we've prosecuted?
Josh: Not enough.
Amy: 250. You guys are about to make it harder, so I dropped the first lady a note.

………………………………………

Josh: We can't drop the word.
Amy: Why?
Josh: Because we're not only ones living in the world. Prostitution is legal in Germany, Turkey, Netherlands, and if we alienate these countries...
Amy: They don't sign the treaty.
Josh: The more countries that sign, more effective it is.
Amy: The more toothless the treaty, the more toothless it is.
Josh: That's a permiating syllogism.
Amy: Hey, I'm not screwing around. The women's vote isn't just a half your constituency. It's the entire margin of victory. 
Josh: Who else are you gonna vote for?
Amy: I don't know. But you haven't appointed enough women to the federal bench. So... We will hold up your other nominations.

[シーン3: エイミーを彼女の出先で待ち構えたジョシュが、オフィスまで戻る間に歩きながらなされる会話]

ジョシュ「エレノア・ローズベルトがかつて、国連総会で演説したことがあるんだぜ。売春を合法化しようって。」

エイミー「エレノア・ローズベルトって同性愛者だっけ、違った?」

ジョシュ「国際問題担当の次官とレジーナ・ピアースが国連で、我々の法律顧問と同席して『強制』の代用語を考えることになった(と、彼女の意見を容れて対策を講じたことを説明)」

エイミー「聞いたわ」

ジョシュ「それで?」

エイミー「驚いた」

ジョシュ「良かった」

……………………

ジョシュ「女性の売春する権利を抑圧しないで、どうやって売春を非合法とすることが出来るんだい?(と、再び議論をふっかける)」

エイミー「ヘロイン常用者の権利を抑圧せずに、どうやってヘロインを非合法に出来るの?」

ジョシュ「ヘロインが非合法なのは、体に悪いからさ。」

エイミー「娼婦もそう。」

…………………………

ジョシュ「(少し興奮して) 女性がその体を使ってやることに政府はあれこれ口を挟むべきではないと君自身が言ってるくせに、どうしたら僕は君を偽善者と呼ばないでいられるか教えて欲しいよ」

エイミー「あなた少しセルフ・コントロールを学んだ方がいいんじゃなくて?」

ジョシュ「………」

エイミー「売春はお金の為に、女性が男性から服従を強いられることなの。」

ジョシュ「お金は女性のとこにいくんだぜ。」

エイミー「そういう場合もあるわ、でも「大きくなったら娼婦になりたい」なんて言う娘は聞いたことないわ。経済的事情から無理やりやらされてんのよ。緊急の経済的必要性が、強制という形をとって表れるの。」

ジョシュ「僕の部屋に侵入してステレオを盗む奴も同じ理由からだな。」

エイミー「彼は刑務所行きね。」

ジョシュ「そうさ。何故なら、部屋に侵入してステレオを盗んだから。そんなことは起こって欲しくないって皆思う。でもこの理屈が他の場合にも使えるとは限らない(売春は人に迷惑をかけない、の意)。少しの間でいいから、これが女性の問題である、ということを忘れてみなよ。法律は抑制にはなっていない。娼婦はイエローページに広告を出している。我々がやってることは、犯罪的環境の中で、さらに犯罪と呼ばれるものを増やすことに過ぎないんじゃないか?」

Josh: Elearnor Roosevelt once made a speech to the U.N. General Assembly saying we should decriminalize prostitution.
Amy: Eleanor Roosevelt was the one who liked hats, rlght?
Josh:The undersecretary for Global Affairs and Regina Pierce will sit with our legal adviser at the U.N., look at alternative language.
Amy: I heard.
Josh:So?
Amy: Indeed.
Josh:That's right.
………………………

Josh:How is making prostitution illegal not suppressing woman's rights?
Amy: How is making heroin illegal not suppressing a heroin user's rights?
Josh:It is, but heroin is bad for you.
Amy: So's being a prostitute.
Josh:How can I not call you a hypocrite when you say the government shouldn't tell woman what to do with their bodies?
Amy: Excercise some self control, I guess.
Josh: ………
Amy: Prostitution is about the subjugation of woman by men for profit.
Josh:Profit goes to the women.
Amy: In some cases. But I know of no girl who says, "I want to be a prostitute when I grew up." They're forced to do it out of financial circumstances. Dire economic need is a form of coercion.
Josh:But the guy who breaks into my apartment and steals my stereo does it for the same reason.
Amy: And he's going to jail.
Josh:Yeah. Because he broke into my apartment and stole my stereo...and nobody wants that happen to them, but you can't say that about the other thing. Forget, for a second, that it's a women's issue. The law isn't a deterrent. Prostitutes advertise in the Yellow Pages. Aren't we just serving to create more criminals in a criminal environment?

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エイミー役のメアリー=ルイーズ・パーカー(Mary-Louise Parker) はテレビドラマ『エンジェルス・イン・アメリカ』で精神的に不安定な女性を演じていたが、南部なまりらしいが、彼女独特の喋り方と雰囲気があって、個人的に気に入っている役者である。

このドラマの中では、フェミニストの闘士でありながら、女性らしさも併せ持つという役柄を演じており、またその硬軟巧みに使い分ける話術から、視聴者にとっても、彼女の考えに共感するしないは別としても、一定の理解を向けやすい役柄設定となっている。

しかし実際のところは番組の中でも、大統領夫人を動かし、ジョシュを説得し、官邸が押す候補者以外の裁判官を支持するなどとやんわりと脅迫したり、自分たちの持つ力を誇示したりしながら、半ば気の進まない次席補佐官ジョシュに彼女の要求を受け入れさせるという手腕を発揮している。

彼女が大統領夫人に出した手紙の中で、共同署名した団体としてNOWの名前が挙げられている。NOWとはNational Organization for Women(全米女性機構)の略であり、1966年にアメリカで創設されたフェミニスト団体である。

このエピソードの初回放映は2001年の12月28日だから、ソーキン達が脚本を書いたのは、2000年から2001年の間であろう。ところで2000年には「日本帝国情報公開法」という日本の戦争犯罪を調査する為の法律が上下両院で可決される。

実はこの法案の可決に大きな力を及ぼしたのがNOWであり、そのNOWを動かしたのが、在米の華僑や韓僑であったと、アメリカの反日の動きを早くから調べてきた前述の遠藤誉氏は語っている。

「……その結果、ようやく「日本帝国情報公開法」が制定されたのである。これにより公開された日本の戦時犯罪行為は実に約800万件。ここにたどり着くまでには、在米華僑華人だけでなく在米コーリアンによるアメリカの退役軍人や人権保護団体の協力や国会議員への、並々ならぬ働きかけがあった。特にアメリカ女性協会(National Organization of Woman)の力は大きかった。」

ソーキン達が脚本を書いた時点では思いもしなかったと思うが、やがてその動きは2007年の米下院外交委員会での「従軍慰安婦の対日謝罪要求決議」へと繋がっていき、「強制性はなかった」という日本の主張が、多くの人から白い目で見られることとなった。

私は日本の主張の仕方が間違っているとは思わないが、日本を糾弾するNOWの女性たちにとっては、「強制性がない」という文言がまさに詭弁であり、そしてそのことは、彼女たちにとって過去のことではなく、まさに現代のこの社会において彼女たちが戦っている問題なのであるようだ。

昨年の四月に訪韓したオバマ大統領が、「(慰安婦は)甚だしい人権侵害だ」と語った時、韓国人は日本に勝ったと飛び上がって喜んだ。一方の日本人はこのオバマ大統領の発言に失望と怒りさえをも感じたのであった。

西尾幹二氏はそれに先立って、外国人記者クラブでの記者会見で、占領軍が日本で行った数々のレイプまで持ち出してアメリカの無理解に対して反撃した。

しかしドラマの中のジョシュとエイミーの会話を聞いていると、オバマ大統領もそういう発言をせざるを得ないように追い込まれていたと見るべきかもしれない。

その後の韓国の自爆的行動で、慰安婦問題も少し落ち着きを見せたように見えるが、実際は中国などがしかけてくる歴史戦はこれからが本番だ。

日本政府も民間も、アメリカの反日勢力のどこに絞って対策を講じるのが最も効果的かをしっかり見定めた上で、事にかかっていかねばならないであろう。