ジョン&万次郎4【差別と朝鮮文化3 】

ジョン&万次郎4【差別と朝鮮文化3 】


ジョン&万次郎1【日本における反韓の起源】

ジョン&万次郎2【差別と朝鮮文化1】

ジョン&万次郎3【差別と朝鮮文化2】


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ジョン「僕はね、こうやって絨毯とか畳とかに座るのが大好きなんだ。」

万次郎「僕も。靴を脱いで入る絨毯敷きの飛行機があれば良いと思うくらいだよ。さてと、どこまで話したっけ?」

ジョン「朝鮮は中国的システムを取り入れることで、上からのジャーヒリーヤ化が行われた、ていうとこ。」

万次郎「ああ、そうだ。つまり、今でも韓国国内には激しい競争、政争、内部対立が見られるが、その歴史的起源は朝鮮が支那式の政治システムを積極的に取り入れたことにある、ということだね。」

ジョン「日本は支那の政治システムの影響は受けなかったの?」

万次郎「日本が一番影響を受けたのは、7世紀に唐の律令制に基づく中央集権制度を取り入れようとしたことかな。日本だけでなく朝鮮半島チベットもこの律令制を取り入れているから、その時代の日本と朝鮮の差異はそれほど大きくなかったかもしれない。ただここで僕が話題にしたいのは14世紀末から20世紀初頭まで500年以上に渡る長期政権を維持した李氏朝鮮についてだ。この時代に朝鮮半島支那化は極度に進んだ。一方日本では、そのような天子(=天皇)を中心とする支那式中央集権に対抗する勢力として武士が台頭し、17世紀には武士が完全に実権を握るようになる。また後で話すと思うけど、このように日本と朝鮮はまったく違う道を歩むことになったんだね。」

ジョン「オー! ブシドー、ニッポンダンジ、スゴイデスネエ。」

万次郎「急二外人ブラナイデ、クダサーイ。とにかくその時代の支那の明と、そしてその明の忠実にして熱心な模倣者であった李氏朝鮮という二つの国は政治体制は酷似していたけど、環境条件が違った為に、その運用結果にははっきりとした差異が認められることになった。そしてそういった歴史の過程は、現在においても中国人と韓国人の国民性の同質性と異質性の一つの原因ともなっている。中国と韓国は1992年に中韓の国交が正常化したんだけど、その結果、直接の人的交流を通して、中国人も韓国人の異質性に気づくようになった。」

ジョン「やっぱり中国人から見ても変?」

万次郎「ちょっと長いけど、良い例があるから紹介しよう。ある中国人が韓国に観光旅行に行ってね、それでその体験をネット上に綴ったんだが、以前日本語のニュースサイトがそれを紹介してた。確か僕のiPadに保存してた筈だけど…(と、iPadを取り出して文章を探す)……あった、これだ。その中国人はね、それまでは、韓国人が嘘をつくのが好きだと紹介するニュースなんかを見て、誇張の部分が多いのだろうと思っていたみたいだね…(iPadを渡して)まあ、読んで見てよ。」

-------------------- 以下、iPadに保存された文章 --------------------
今回はツアーで済州島とソウルに行った。ガイドは35歳の韓国人お姉さんだったが、車に乗るやいなや「中国の皆さん、韓国はどうですか。肺を洗う感じがしますか。PM2.5をはじめ、中国の環境はひどいそうですね。われわれ韓国人は環境をとても大事にしています」と抜かした。不快ではあったものの、まあ確かに済州島の空気は良かった。

昼食の時間になると、このガイドのお姉さんがまた「今日の昼ご飯は超おいしい韓国ならではの石焼ビビンバと牛肉鍋です。中国グルメよりおいしいし、ヘルシーですよ。中国では食べられません」などと言う。ふざけるな、出てきたのは普通の石焼ビビンバと白菜スープで、スープの上に牛肉が数枚ひらひらしているだけじゃないか。

食事中、鍋があったためにレストランの温度がとても高くなっていて、われわれ中国人観光客は汗びっしょり。そこで韓国人オーナーにエアコンをつけるよう求めた。するとオーナーは「済州では環境を大事にしているので、どうしようもない状況以外はつけない」と返答。われわれも強くは要求せず、早く食べ終わって車に戻り、エアコンに当たろうと考えた。しかし、車に戻るとさらにひどい状況が待っていた。エアコンが止まっているのだ。お年寄りもいて、熱中症になったら大変だからエアコンをつけてくれ、とお願いしたところ、ガイドのお姉さんからは「エアコン? ダメダメ。41人全員揃ったらつけますよ。エアコンだってガソリンを食うんです」と返された。

道中、ガイドのお姉さんはわれわれに韓国の「悠久」の歴史を紹介した。済州島は2万5000年あまり前に火山の爆発で形成され、1万年前にはすでに人類が活動していた形跡があるという。つまり、大韓民国は1万年の歴史があるということか。

午後は、みんなで茶葉を買いに行くことになっていた。お姉さん曰く、中国の茶葉はおいしいけれど、済州島のものにはかなわないとのこと。済州島のお茶は汚染されていないからだそうだ。そしてお姉さんは「ノルマがある、お願いだからみなさん、メンツを守るために茶葉を買ってほしい」と言うのだ。

茶葉の農園に到着すると、お姉さんはぺらぺらと一通りの紹介を始めた。われわれ中国人は自国の茶葉に慣れていて、済州島の緑茶に興味を持たず、結局誰も買わずじまい。車に乗るとお姉さんはすぐさま表情を変え、「誰1人として買わなかったんですか?中国人は本当に恥知らずだ」という衝撃の一言を放ち、われわれ全員を唖然とさせた。すぐに何人かの客が「われわれのどこが恥知らずだ。盗んだり奪ったりしたとでもいうのか。韓国の茶葉は不味い、だから買わない。このどこが恥知らずだ」と反撃、しばし緊張が走った。お姉さんは自分の非を悟っていたのか、すぐに「冗談ですよ」と言った。

その後、お姉さんは道中でまたやらかした。韓国の物価は高くて、ミネラルウォーターが1本6元(約113円)もするのは心が痛むでしょう、でも韓国人はみんな安いと思っているんですよ、と言う。そして「なぜなら、中国では皿洗いのおばさんの月収は2000元(約3万7600円)だけど、韓国では8000元(約15万円)だからです。中国では水が2元(約38円)、韓国では6元。計算すると、中国よりも安いことになるんです。中国人はかわいそうですね、経済的に韓国よりはるかに遅れています」と言い放ったのだ。

最後に自然博物館を訪れたのだが、ここでは歴史と文化についてのホラ吹きが始まった。「韓国の歴史は非常に長く、考察可能な形跡があるものでも5000年の歴史を持ちます。そして、済州島では1万年前から人類が居住していたと言われています。中国でも5000年ですよね。われわれ韓国は小さいですが、中国の歴史に引けを取りません」と説明した。そして、韓国ドラマの話になると「韓国ドラマは世界でもっとも好かれているテレビドラマです」と言った。

しまいには整形の話に及んだ。「韓国人が整形をするのは、不細工だからではありません。韓国人は美しさが他人へのリスペクトになると考えているのです。われわれ韓国人はすでに美しいのですが、他人への尊重を示すために、どんなに美しい女性でも整形するのです」だって。
-------------------- 文章ここまで --------------------

出典: Focus-Asia 2014/11/8

ジョン「なんか、中国人の目にも韓国人が異質なものに見えることがよくわかるね。」

万次郎「ネット上にはこんな中国人の韓国旅行の話がたくさんあって日本語で読める。まあ、嘘をつくぐらいのことは中国でもしばしばだが、韓国人の場合、極端な自己中心的な思い込みと、そこから来る優越感があって、そういったものが、相手の面子を無視してまでも、つい言葉の端々にほとばしってしまうんだね。」

ジョン「太陽は韓国を中心にまわっているんだね。」

万次郎「中国のネットでは、韓国は『宇宙の中心』と呼ばれているよ。中国人の韓国観光の似たような体験談は、日本語ネット上でもたくさん読める。中国人はまがりなりにも共産主義の唱える平等の名分の時代をくぐり抜けてきたから、韓国人のこのあからさまな差別意識には驚くみたいだね。そういうことがあるから、常日頃互いに貶しあってる日中の愛国者でも、韓国を馬鹿にすることで、仲良くなれる雰囲気がネット上にはあるくらいだ。」

ジョン「韓国人は日中友好のキューピットなんだね。ところで、さっきの記事を読んで思ったんだけど、経済成長を遂げたから韓国はこんなに傲慢になったんじゃないの?」

万次郎「その通り。でも彼らの民族的優越感は、実は彼らが貧乏な頃から存在していたんだ。外には見せなかったけどね。それについてもう一つ話を紹介しよう。以前韓国で放映されたテレビドラマの内容で、君の国アメリカが舞台の話だ。」

ジョン「韓国のドラマなら、いま流行ってるよね。」

万次郎「うん、でもそれよりずっと前の話でね、80年代のことだと思う。ある日本人のライターがね、韓国人たちがテレビドラマを見ている姿を何かの誌面で報告してたんだ。こんな話…

アメリカに留学している韓国人の話でね、彼がとあるパーティーに出席して、そこでアメリカ人の男女の学生がキスしているところを目撃するんだ。すると彼は、その男女二人を人目につかないところに呼び出して、彼らの行為がいかに不道徳で礼儀に反するかを諄々と説くんだ。でね、ここからが面白いんだよ。

…するとその二人は雷に打たれたようにショックを受けて、自分たちがいかに愚かで礼儀知らずだったかを悟るんだ。そして涙を滔々と流しながら、自分たちに天啓を与えてくれたその韓国人に感謝の言葉を諄々と述べるんだ、そういう話なんだ。

…それでね、その記事を書いたレポーターが目にしたのは、ブラウン管の前でドラマを見守っていた韓国人たちが、割れんばかりの大歓声をあげて、彼の快挙を褒め称えている姿だったそうだ。」

ジョン「う〜ん、絶対あり得ない話だ。」

万次郎「そうだろう。」

ジョン「韓国人は我々アメリカ人を礼儀知らずの人間と考えてて、礼儀とは何であるかを教えてくれようとしていたんだね。」

万次郎「まあ、韓国人の中だけで、そうやって溜飲を下げていたんだろうね。」

ジョン「今は韓国人にとってキスなど当たり前だろうけど、ほんのちょっと前まで、こんなだったんだね。まあ、『キスが不道徳』というのはわからないでもない。アメリカでだって昔は今ほどには大っぴらにキスはしなかった。」

万次郎「そうなんだ、韓国人の差別には一応『理由』があるんだね。だけどさっきの愛国的ガイドのお姉さんの場合、中国と韓国を比較しながら、公害や労働環境を理由として取り上げて韓国の優越を示すんだけど、何か嘘っぽい。そこには商魂の逞しさも潜んでいるんだけど、それと同時にある種の感情が明確に見える… 」

ジョン「相手を屈服させたいという感情だろうね。」

万次郎「そう。それがありありと見えるから、この中国人は彼女を嘘つきだと言ってるわけだね。」

ジョン「かなり気持ち悪いかも…」

万次郎「彼女が普段の生活の中でもいつもこんな愛国的だとは思わないけどね。」

ジョン「そうなの?」

万次郎「そうさ。それだけじゃ生活やってけないだろう? でもある種の状況、例えばこの場合のように、中国人の観光客を相手に韓国を説明するというような状況に置かれると、彼女の民族主義的感情にスイッチが入る。それはとどのつまり、韓国人という、同じ血を分けた一つの大きな血族の一員として自らを意識することに他ならない。」

ジョン「民族主義、全開だね。サッカーの時みたい。」

万次郎「そして同じ血族という認識は、彼らの社会生活がそうであるように、同じく血族グループとして認識される他の民族の頭を押さえつけ自らの血族を上に見せるという役割期待とセットになっている。彼らの社会認識においてはそのような序列の中でしか民族的アイデンティティーを担保できないからだ。」

ジョン「ガイドなんだから、『民族主義』モードはOFFにして、『おもてなし』モードとか『プロフェッショナル』モードに切り替えればいいのにと思いけど、そう簡単には変えられないんだろうね。」

万次郎「今の韓国人は我々と同じような服装や髪型をしてるから、ついなんとなく我々と同じだと思ってしまいやすいけど、民族が絡んだ時などに見せる彼らの反応は、我々とまったく違うもので、驚かされるんだね。」

ジョン「そう聞くと思い出すんだけど、我々が海外旅行する韓国人を見るようになったのは、90年代に入ってからだろう? 最初の頃はみんなジャージ着てバンコクを歩き回ってるようなもっさりした感じで、日本人とは違うことが僕の目にもわかったよ。」

万次郎「そうだったね。それが今や、K-Popだの韓流ドラマだの… あっというまに化けたね。」

ジョン「化けたね〜。」

万次郎「まあ、別にジャージでもいいし、オシャレであるのも悪くない。」

ジョン「イタリア人なんかはアメリカ人よりもずっとオシャレだし、そういうのは尊敬するけど。」

万次郎「ただ韓国人にとってのオシャレは、個性の表現というよりも何か別のものみたいだね。」

ジョン「『他人に対するリスペクト』じゃないことは確かだな。単に都会に出てきた田舎者が、一生懸命周りの真似をしてるのと同じように見えるけど…」

万次郎「それはね、その通りだとも言えるしそうでないとも言える。もし田舎者なのだとしたら、韓国は国中上から下までみんな田舎者ということになる。」

ジョン「それだよそれ、国家あげての田舎者。」

万次郎「否定をするつもりはないけど、そこで終わってしまったら思考する努力の放棄だ。それだと何故一方で韓国人は自らを至高の存在と考えているかを説明できないし、何故都市化産業化した韓国で文化の多様性が生まれてこないのかも説明できない。また彼らの顔面整形にかける情熱も理解できない。」

ジョン「じゃあ、韓国人の一番本質的なところは何だろうね。」

万次郎「今日話してるテーマに沿っていうと、『すべての国民を包み込む社会的上昇への情熱』と、その為の価値基準としての極端な『内面の軽視と外面の重視』だろうね。ここまで説明すれば、さっきのガイドのお姉さんの言動についてもわかってくるだろう?」

ジョン「ん?」

万次郎「お姉さんがPM2.5だとか、労働環境がどうとか言うのが、なんか胡散臭かったろう? 彼らがそういうことを平気で言うのは、韓国人にとって道徳は外面的なものだと考えられているからさ。」

ジョン「外面的な道徳!? 道徳は内面的なものだろう? それは矛盾してないかい?」

万次郎「そう思いたいけど、我々の場合だって、『神様が見ている』とか『世間様に顔向けできない』とか実生活の中での道徳を内面的か外面的か分けるのはそう簡単なことではない。ただ韓国人の場合は道徳と言うものは顕著に自分を飾ったり、他人と差をつける為の外面的なものなんだ。」

ジョン「なるほどねえ。そう言われれば納得できる気もするな。」

万次郎「そして、その起源を理解する為には、最初の話に戻るけど、中国と韓国の差異に目を向けなければならない。ついこの間まで、この二国は同じように儒教科挙の制度を基盤に据えた国家を何百年も続けてきたわけだからね。」

ジョン「やっと、そこに話が戻ってきたね。」

万次郎「アメリカの話が出たところで、バーボンでも飲みながら続きをやろうか。」

ジョン「うちにおいでよ。今朝ブラウニーを作ったから、ご馳走するよ。」

万次郎「え!?  …ビーフ・ジャーキーとかないの?」

ジョン「あれは南米インディアンの食べ物。僕のブラウニーは我が家伝統のアメリカのレシピだ。」