タイ反政府デモとは何だったのか 5

マイケル・ヨン氏のオンラインマガジンの記事からの翻訳です。


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アメリカが1000万ドルの援助を打ち切るとタイを脅す(冗談ではない)

【写真】クリスティー・ケニー駐タイ米大使

23 May 2014

これは、象の毛を一本だけ刈るぞ、と脅すに等しい。タイにとってはこの1000万ドルがなくとも、フロリダの人間が、空に一片の雲もないからといって惜しむ以上のほどのことではない。

より重要な点は、アメリカ政府のタイを威嚇する馬鹿げた態度であり、またかつても現在もどこにもいないほど馬鹿な米大使の存在である。

クリスティー・ケニー米大使は、タイの人々を一方的に遠ざけた。そうでなければ実にフレンドリーな人々であるのに。彼女の毎日のツイートや、子供じみたビデオ映像や、自撮りや、いかに寝坊したかを綴った文書によって、我々アメリカ人は道化のような存在になった。

数年来私の仕事をフォローしてくださってる皆さんは、今日の私の主張が奇妙に見えても、数年後には真実となることを既にご存知であろう。次のことは注意というよりも警告であるが、米政府はタイとの接点としてケニー大使を使うことで、米泰関係を深刻なレベルで毀している。あなたにはまだ見えていないと思うが、私には確実に見えている。私はこの国の沢山のトップの人々と手合わせもしたし、ごく普通の人々と毎日時を過ごしている。彼等は怒っており、そして彼等は正しい。

戦争で負けている、と2006年にアフガニスタンから私が書いていた時、ほとんど誰も信じなかったことを思い出して欲しい。私は現地ではっきりと目にしたのだ。アフガニスタンでの豊富な経験を持つCIAの良き友人は、アフガニスタンで負けている、と私がテレビで喋っているのを見てすぐさまに私を責めたてた。CIAですら、ありのままの姿を見ることが出来なかったのである。イギリスやカナダの情報機関とてそれ以上ということはなかった。

私はアフガニスタンの実情よりも、タイの実情になお通じている。タイはアメリカに背を向けるべく備え始めた。

今やアメリカ政府が一般的な言葉さえ理解しないので、タイはその内面で深刻な問題に苦しんでいる。

私の友人が -- タイではかなり力のある存在だが -- 大使館の古参のCIA職員に会ったのだが、その日の会合の後、私は彼に尋ねた。彼女(CIA職員)は1から10の間でランク付けすると、状況をどれくらい理解してるのかと。友人の答えは、大体5ぐらいということだった。

さて、米政府はクーデターが起きる見込みは無いと発表したが、それから48時間も経っていない昨日、クーデターが起きた、ということは心に留めておく。

我々のCIAは無能だ。我々の国務省は何もわかってない。我々の大使は犯罪的政権の側に立ち、ハリウッドがお似合いのウスノロのように振舞っている。

だが私の言葉をそのまま信じるのではなく、クリスティー・ケニーのツイッターや画像共有サービス、あるいはユーチューブでタイのアメリカ大使館のビデオを検索して、自分の目で見て欲しい。我々アメリカ人がどのように人間によって代表されているのか、我々の政府が如何にタイに対して恩着せがましいか、あなたはぞっとする筈だ。

1000万ドル、確かにそれは、象の背中の一本の毛に過ぎない、しかし、象だって、ぴしゃりとやられりゃあ、怒る。

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元記事



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マイケル・ヨン氏はアメリカの人で、独立取材を続けるジャーナリスト、コラムニストであり、また写真家でもある。2008年にNew York Times紙は、マイケル・ヨン氏のことを、最も長くイラクで戦闘部隊に従軍した作家であると紹介している。

日本では慰安婦問題で、公平な報道をする数少ない欧米人ジャーナリストの1人として知られている。

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